[第27回 FA研究会]
(2011/12/27)

第27回FA研究会実施報告  

2011年12月27日(火)、第27回Foreign Affairs研究会が神田学士会館で開催されました。出席者数は10名で、研究会終了後には学士会館内の中華レストラン「紅楼夢」で忘年会を行いました。

今回のテーマはFA誌2011年11/12月号掲載の論文「The Broken Contract」By George Packerで、レポーターは小川(7期)でした。著者はジャーナリストで、「The New Yorker」誌のスタッフライター(常勤のライター)です。内容は、過去30年間にアメリカの体質悪化が進み、不平等は拡大し、事態は深刻な状況に陥っていると指摘するものです。もはやアメリカンドリームは過去のものであり、良き時代のアメリカを支えた「中産階級民主主義」は消え去り、富がごく一部の人間に集中するようになってきている。その原因としてしばしば取り上げられる、グローバル化、中国製の低価格品の流入、技術進歩の深化などは一因にしか過ぎず、決定的な要因は政治と公共政策にあり、過去30年間に亘り政府が一貫して金持ち優遇を続けてきた事にある。それにも増して、アメリカのエリートたちの態度やモラルが変質してしまった事が問題だ、と訴えています。

この論文は多くの読者の共感を得ているようです。アメリカのトップ1%の収入シェアの長期的推移をチャートで見ると、1980年代以降の急激な上昇が目を引きます。ヨーロッパや日本と比べるとその異常さは明らかです。

出席された斉藤さん(4期)からは、デリバティブなど、金融技術の進歩で金融部門参加者の所得が急激に増加した事が不平等拡大の背景にあるとの指摘がなされ、解決のためには規制の強化しかなく、その動きが出てきているとのコメントがありました。過剰に膨れ上がったマネーが世界中を振り回し、富の偏在、格差拡大を招いている状況を見ると、金融の暴走を押し止める国際的な枠組み作りが必要なのは明らかです。しかし、規制の強化によって必然的にもたらされる金融収縮は、実体経済にも大きな影響を与える事になりますので、良かれと思って行われる規制の反作用には十分な注意と対策が不可欠でしょう。

午後6時から2時間ほど研究会を行った後、「紅楼夢」で美味しい中華料理を食べながら歓談し、午後10時頃に散会しました。今年のFA研究会はこの1回だけでしたが、来年は2回ぐらい開催したいとの声が出ていました。


FA研究会・忘年会(2011年12月27日)


報告者 小川哲夫(7期)
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