【第29回 Foreign Affairs 研究会報告】
(2013/12/27)
 2013年12月27日(金)午後6時から第29回Foreign Affairs 研究会が学士会館3階の会議室で16名の参加を得て開催されました。この会としては多人数の参加であり、主催者の一人として嬉しく感じました。約2時間研究会を行い、その後で会場に中華料理を運んで頂き、美味しい料理やアルコールを楽しみながら議論の続きをし、忘年会としました。

 今回のテーマはFA誌2013年5/6月号掲載の「The Irony of American Strategy」で、レポーターは私、小川(7期)が務めました。論文の著者はRichard N. Haass氏です。Haass氏は元々外交官で、2003年7月以来外交問題評議会(超党派のシンクタンク)の会長(前職、国務省政策企画局長)を務めています。米国の外交政策に強い影響力を持つ組織の会長が書いた論文だけに、現時点の米国外交政策を見る上で大いに参考になります。


レポーターを務める小川さん

 内容は、アメリカの外交政策がイラク戦争に代表されるような中東への大規模な軍事介入からアジア重視へ変ってきていることを中心に、中東への関与の仕方、アジアへの関与の仕方とその理由などについて論じたものです。アフガニスタンでのタリバン政権打倒の戦いはともかく、イラク戦争は米国としてやらなければならなかった戦争ではなかったと結論付け、多くの犠牲を伴った中東への関与は何の利益にもならず、今後は直接的な軍事行動を伴わない、別の手段を使った関与にすべきである。しかし、米国がこの様な政策転換をした直後にシリアの問題など、米国としても背を向けられない状況が生まれてきているのは皮肉(Irony)だ。

 一方アジアは、中東とは対照的に大国が競争している場所であり、米国の軍事力の存在と行動が多くの潜在的な問題に立ち向かい、対処するのに極めて有効だろう。オバマ政権が2011年にアジア重視へと政策転換(PivotあるいはRebalancing)したのは評価できる。アジアで最も重要なのは、一つには中国を地域そしてグローバルな秩序に組み入れるようにする努力であり、もう一つは、この地域の他の国々が、より強大な隣国に順応し始めないように、あるいは彼ら自身がより国家主義的で攻撃的にならない様にするため、米国が活動的であり続け、信頼できる戦略的なパートナーとなり、あらゆる意味であらゆる分野に存在している事だと主張している。

 尖閣諸島に対する中国の攻撃的な対応、突然打ち出された東シナ海上空の防衛識別圏設定などは、長年続いている中国とアセアン諸国との間の南シナ海での領土紛争と相通じるものでしょう。中国の経済力、軍事力の強大化に伴い、こうした圧力は益々高まる可能性が高いと思われます。日本としての対応の仕方は、中国との友好関係を構築するのが最も望ましいのですが、それが適わない場合には、同盟国アメリカとの協調を密にし、中国を取り巻く諸国との友好関係増進により中国の圧力を和らげる方策しか取り得ない事は多くの日本人の共通認識かと思われます。その意味では、こうした政策実現に障害となる様な行動は避けるべきであり、為政者には、自らの信念に反したとしてもよりリアリズムに徹した行動を取って欲しいものです。


FA研究会風景





 忘年会に入ってからもこの問題に関しての意見交換が続きました。昨年は中国がアメリカをどう見ているのか、中国が抱いている怖れとは何か、それに対してアメリカはどのように立ち向かうべきかと言う内容の論文がテーマでした。昨年の論文と合わせて今回の論文を読めば興味は倍加するかもしれません。忘年会は午後9時半にお開きとなりました。

来年も引き続き研究会を開催いたします。新たに参加される方、大歓迎です。今回の16名を越すような人数での開催が出来る事を期待しております。


第29回FA研究会・忘年会参加者


報告者 小川哲夫(7期)
Foreign Affairsのページへ  トップページへ