【第32回 Foreign Affairs 研究会報告】
(2015/12/15)

2015年12月15日午後6時から、学士会館の会議室において、第32回のForeign Affairs(FA)研究会が開催され、10名が参加されました。

今回は『Foreign Affairs』誌の11/12月号から、「Help Refugees Help Themselves-- Let Displaced Syrians Join the Labor Market」(難民を助け、自分たち自身を助ける − 住まいを追われたシリア人たちを労働市場に参加させよう)の論文が取り上げられ、今回も小川哲夫さん(7期)がレポーターとなり、難しい英語の論文を分かりやすく翻訳、参考資料までつけて、丁寧に解説してくださいました。


論文を解説する小川さん


内容の詳細は下の小川さんの報告を参照していただきたいのですが、難民について考える良い機会となりました。難民が増え続けている実態を見ると、難民問題は永久に解決できないのか、日本はお金を出すこときり貢献できないのか、IS問題は、地球温暖化は・・・など、いろいろな問題が複雑にからみあっているようです


FA研究会風景


FA研究会のあと同じ場所で忘年会を兼ねた食事会があり、次のFA研究会のスピーカーは斉藤惇さん(4期)にお願いすることや、来年のMBI同窓会イベントの講演会は、世界経済史の観点から今のグローバルな問題を見るのはどうか、というような話がありました。次のFA研究会は来年の6月頃、MBI講演会は来年の9月末から10月初め頃の土曜日を考えております。ご期待ください。

美味しい中華料理での歓談は続き、午後9時頃お開きとなりました。小川さん、いつも翻訳等、ありがとうございました。

 
第32回FA研究会・忘年会参加者。鮫島さんは忘年会欠席

報告者 菅野妙子(MBI)



第32回のFA研究会レポーターとして、その概要を以下のとおりまとめました。

難民を満載して地中海を渡る小さな船の沈没、海岸に打ち上げられる子供の遺体、トルコ国境を越えてEUに入ろうとする難民の群れと阻止しようとする警備兵との小競り合いなどが相次いで映像配信され、シリア難民問題がクローズアップされました。EUでは各国の難民受け入れ分担が議論され、さらにフランスでテロを起こした犯人の中に、難民に紛れてやってきた人物がいた事が問題を更に複雑化させています。そこで、今回のFA研究会では、多くの日本人にとって「他人事」になっている難民問題についての理解を少しでも深める事を目的とし、難民問題への対処方法についての提言をテーマとした論文を取り上げました。




現在世界中には約60百万人の難民が存在し、その数は第二次大戦後最多となっています。特に、シリア内戦が始まって以来その数は急増しています。シリア難民は国内に約6百万人、国外に約4百万人と言われています。因みに、シリアの人口は約22百万人です。EUへの多数のシリア難民流入が話題になったのですが、その数はシリア難民の4%に過ぎず、シリア国外に逃れた難民の多くは隣国のヨルダン、レバノンとトルコに向かっています。レバノンの人口は約4百万人ですが、そこに百万人のシリア難民が押し寄せているのです。取り上げた論文の著者は、EUはここ数か月のうちに自国領内に到着した難民の扱いに悩んでいるが、同時にシリアの隣国の難民危機にも目を向けるべきだとしています。




1950年代以来続けられている難民政策は、人道的な救済を目的として行われてきていますが、その具体的なやり方は陳腐化していると著者は主張しています。難民を受け入れ国の社会に定着させようとしても、雇用の問題、社会秩序の維持の問題などから、それを認める国は殆どありません。現状では、難民は国際的な援助を受けながら、キャンプの中で厳しい生活を長く続けると言う状況になっています。著者は、問題解決の一つの策として、ヨルダンを例に挙げ、特区を設けて企業を誘致し、難民雇用の促進とヨルダンが望む工業化の実現を同時に図る策を取るべきだと言う提案をしています。




こうした策の実現可能性は不透明です。また、難民問題がこれで解決するわけでもないでしょう。難民問題の根本解決のためには、戦争や様々な国際紛争をなくし、貧困をなくすことが必要です。しかし、そのような事は、言葉で言うのは簡単ですが、残念ながら実現可能性に乏しいのが実情でしょう。そうであるならば、苦しんでいる難民への対処策の一つとして、著者の主張も取り入れて行く事が望ましいように感じられます。




報告者 小川哲夫(7期)