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【第34回 Foreign Affairs 研究会報告】
(2016/12/27)

2016年12月27日午後6時から、学士会館の会議室において、第34回のForeign Affairs(FA)研究会が開催され、14名が参加されました。

今回は『Foreign Affairs』誌の9/10月号から、「The Return of Europe's Nation-States -- The Upside to the EU's Crisis」(ヨーロッパの国民国家復活 ― EU危機に対しての望ましい方向は)の論文が取り上げられ、今回も小川哲夫さん(7期)がレポーターとなり、難しい英語の論文を分かりやすく翻訳、参考資料も準備していただき、丁寧に解説してくださいました。


論文を解説する小川さん


内容の詳細は下の小川さんの報告を参照していただきたいのですが、EUだけでなく、世界中に広がるポピュリズムやナショナリズムとその背景などについて活発な議論ができたと思います。また、中間層が多いと思われていた日本も中間層は落ち込み、母子家庭の増大などで、格差社会が広がっており、このままだと日本の将来は危機的状況にあるとのご指摘が斉藤惇さん(4期)からありました。


FA研究会風景


FA研究会風景


FA研究会のあと同じ場所で忘年会を兼ねた食事会がありました。今年度の会長の松岡良樹さん(28期)から乾杯スピーチがあり、EUの状況や日本の将来などについて議論は続きました。

 
乾杯スピーチする松岡さん


アメリカの政治も話題になりましたので、MBIオフィシャル・イベントはもう1回やり、FA研究会協賛で、アメリカ政治についての講演会を専門家をお招きして、5月か6月頃に開催することになりました。ご期待ください。

美味しい中華料理での歓談は続き、午後9時頃お開きとなりました。小川さん、いつも翻訳と論文の解説、ありがとうございました。



皆さんで乾杯


報告者 菅野妙子(MBI)



第34回のFA研究会レポーターとして、その概要を以下のとおりまとめました。

2016年6月のイギリス国民投票は予想に反してEU離脱派の勝利に終わった。1952年の6カ国による欧州石炭鉄鋼共同体設立に始まったEU地域統合の歩みは、単一市場の形成、統一通貨ユーロの導入、更には共通外交・安全保障政策や警察・刑事司法協力へと進化し、一方で、加盟国数も28カ国にまで拡大してきた。






しかし、2008年のリーマンショック以降、ギリシャを始めとする南欧諸国の債務危機(金融不安)発生、2014年のウクライナ危機とロシアのクリミア併合、2015年のシリア等からの難民大量流入、パリ同時テロ発生、2016年のベルギー同時テロ、ドイツ各地でのテロ、ニースでのテロなど、ヨーロッパ各地でのテロ発生などの、まさに複合的な危機にEUは適切な対応が出来ないで来ていた。そこにイギリスのEU脱退という、EUにとって初めての事態が発生し、EUはどうなるのかが大きな関心事となってきている。そこで、今回のFA研究会では、EUがどのように変われば問題解決に繋がるかについて書かれた論文を取り上げた。論文の内容を簡単に要約するのは難しいので、関心のある方は論文そのもの、あるいは私の拙い翻訳を読んで頂きたい。(会員サイト「MBI Plaza」のフォルダ参照)






著者の結論は次のようなものである。EUは構成する国民国家を超える存在であることを追求したが、その決定的な欠陥は、国家間の違いは簡単に解消するものではないという事に対する認識が欠如している事、EUの辺境地帯における様々な脅威に対処する事の重要性についての認識が欠如している事であり、その結果、国家による自治を取り戻すことを目的とする政党が各国で勢力を伸ばしている。ヨーロッパを再び国ごとの管理に戻すことが、ヨーロッパ大陸にとって、安全確保上もっとも望ましい事なのかも知れない。ヨーロッパの国々が国民国家へ回帰したからといって、ヨーロッパが、国々が相争う無秩序の混乱状態に戻ると考える必要はない。自立性が増すことによって、ヨーロッパの国々がお互いに交易したり交渉したりする事を止めることはないだろう。






著者はヨーロッパ各国の指導者たちの基本的な義務は国民の安全を守ることにあり、現在のEUでは、ロシアの脅威からもISのテロからも大量の移民流入からも国民の安全を守れていず、その義務を果たせていないとしている。著者はヨーロッパ統合の経済的成果については殆ど触れていない。政治的なデメリットの方が重要と考えている様だ。確かに、イギリスの国民投票の際にも、離脱の経済的なデメリットについての訴えは力を持たなかった。





2017年には各国で選挙があり、力を増している極右やポピュリスト政党がどの程度の支持を受けるのかが注目され、今後のEUの動向にも大きな影響を与える可能性がある。著者の言うようなEUの解体、ヨーロッパの国民国家復活は簡単には起きそうにないが、EUの大きな構造変化は必須かも知れない。



第34回FA研究会・忘年会参加者




報告者 小川哲夫(7期)

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