[ 第13回MBI史跡ハイキング報告: 春の飛鳥を巡る ]
(2006/03/19)



第13回MBI史跡ハイキング

日時:2006年3月19日(日)
天候:曇り
参加者:13名(五十音順、敬称略)
飯村
居谷
大倉
川勝
桑原夫妻
伴野
成田
山崎夫妻
山内
吉野夫妻



今回の史跡ハイキングは特別な意味合いをもった企画である。関西支部で長年にわたって関西支部イベントや、この史跡ハイキングなどの催しに、ご夫婦で積極的に取り組んでこられた山崎 全氏(MBI第2期)ご夫妻が、今月末に関東(さいたま市)に戻られることを受けて、お二人の門出を温かくお送りしようという主旨で催すことになった。そのようなこともあって、今回の参加者は最近では最高の13名。久々に賑やかなハイキングとなった。

場所の選定に当たっては、前回(12月24日京都西山善峰寺、忘年会ハイク)で、今回の主賓である山崎さんの“庭”『飛鳥』を使わせていただくことで決定。コースは山崎さんの推薦で、大化の改新の“談合”で有名な談山神社、石舞台古墳そして最近蘇我の馬子の館跡といわれる遺跡が発掘され、今一番ホットな甘樫丘とした。監修はMBI関西史跡ハイキングの主宰者で、奈良古代史の大家でもある吉野さん。ご存知の方は少ないかもしれないが、いつもコースを『下り一方』に設定するという配慮をいただいており、お陰で私も“バリアフリー・ハイキング”を楽しませていただいている。

毎度のことだが、開催に当たって一番気になるのは「お天気」。今回も1週間前から前日まで、降水確率50%のまま。でも集合したメンバーの顔を見ると、全員余り心配していない様子。これは、いつもなんとかなってきたという“過去の実績”の為せる業か。今日もどうやら天気は一日持ちそうだ。桜井駅前からバスに乗って談山神社に向かう。相当な登り勾配をバスはのんびりと進み、やがて広々とした駐車場のところで下車。談山神社へは一旦下って、再び緩やかな坂道をしばらく行く。途中、朱塗りの鳥居があって、140段の石段が楼門・本殿めがけて一直線に伸びているが、我々は“わが道を行く”で、緩やかな“王道”を求めて歩く。神社の入り口近くにはこじんまりした旅館もあり、往年の賑わいを彷彿とさせる。やがて重文の総社本殿に到着。

談山神社境内案内図




談山神社は、大化の改新の中心人物、藤原鎌足を祀る神社で、舒明、皇極二代の天皇の世に、国政を欲しいままにしていた蘇我蝦夷、入鹿の親子を討伐し、政治を改革しようとした中大兄皇子と中臣鎌足(後の藤原鎌足)が、AD645年の5月に藤の花が咲き乱れる多武峯に登って、「大化の改新」の“談合”を行ったことから、後にこの山を「談(かたら)い山」又は「談所ヶ森」と呼び、この神社の社号の起こりになったといわれている。なにか「談合」というと、未だにしょっちゅうマスコミを賑わす、とても身近な“現代用語”のように聞こえ、違和感がないでもない。やがて権殿に到着。権殿の前で恒例の集合写真を撮る。

集合写真1




集合写真2




権殿を過ぎ、鎌足の長男定慧と次男の藤原不比等によって建立され1532年に再建された日本唯一の木造十三重の塔を見ながら、本殿(これら全て国の重要文化財)へと進む。

談山神社境内(権殿と十三重の塔)




本殿では数々の社宝とともに、著名な『多武峯縁起絵巻(江戸時代の作)』(レプリカで、本物は奈良女子大学図書館に収蔵されている。)を見る。「談合の図」は中大兄皇子と鎌足が向き合って座って語らっているだけで、あまり迫力はないが、「蘇我入鹿暗殺の図」は対照的で、中臣鎌足が太刀を振るい入鹿の首を刎ねた場面を生々しく描いている。倒れかけている首のない入鹿の姿とともに、斬られた入鹿の首は間仕切りの後ろに描かれた女性(おそらく皇極天皇)に向かうように宙を飛んでいる。本殿を出て、1520年(室町期)創建の朱塗舞台造りの拝殿(重文)を見ながら、もと来た道を引き返し、次の目的地である明日香村『石舞台古墳』を目指す。

しばらくは先ほどのバス停からの道を進む。少し坂が急になり、やがて道は細く急な下りとなる。事前に桜井駅の市営観光案内所で聞いたところでは、このコース一番の難所とのことだったが、前日までの雨でぬかるんでいて滑り易いので余計に神経を使う。加えて目下道の改良工事が進められており、時折広い新道と出くわすが、掘り返した地道でドロドロの状態。Yaさんの足が攣ったようで多少間隔が開いてしまう。やがて広い舗装道路に出てホッと一息つく。Iさんに用意いただいた資料によれば、この近くには、大化の改新で中臣鎌足が斬った蘇我入鹿の首に追われて、ここまで逃げて「もう来ぬだろう。」といったことに由来する「もうこの森」にある気都和既神社(けつわきじんじゃ)があることになっているが、昼食会場の予約のこともあり先を急ぐ。この辺りからは冬野川沿いに集落が点在し、所々に棚田が見られるのどかな風景が続く。川岸には紅梅・白梅が花を咲かせており、“未だ早春”の感。ハイカーらしい姿が増えてきたと思ったら、石舞台古墳の雄大な姿が目に入ってくる。この間約1.5時間、随分歩いたような気がする。

明日香村の石舞台周辺




石舞台古墳は第5回史跡ハイキング(2003年11月)「明日香路―巨石群を巡る」で一度訪れており、希望者だけが250円という入場料を払って見学。私は前回欠席したので見学する。石室を出て、出口に向かっているとYoさんから「急いで下さい。食事の予約のこともあるので、5分後のバスに乗りますから。」と声をかけてもらう。

バスは「石舞台」を出て、明日香村の中を「岡寺前」、「万葉文化会館」、「民俗資料館」、「飛鳥寺」など前回欠席した私にとってはつい降りてみたくなるようなところをスイスイと通り抜けてゆき、やがて「飛鳥」というバス停で降りた。ここからすぐのところに、地主の山崎さんが予約してくださった本日の昼食場所「萩王(はぎおう)」があった。予定より少し遅れ午後2時近かった。建物は一見武家屋敷風というか地方の素封家の屋敷のような佇まいである。店の名前は「お釈迦様」に由来しているそうである。

食事処「萩王」1




食事処「萩王」2




靴を脱いで、席に案内されると、ほとんどの席が我々と同年代のお客で満席で、ちょっと行儀が悪いが覗いてみると、皆同じメニューのようで、美味しそうな野菜や天婦羅などが、洒落た焼物の器に少しずつ優雅に盛り付けられている。やがて出てきた我々の料理もこれと同じもので、「お福弁当」というそうだ。これはやはり写真に収める価値があると思い、デジカメでパチリ。自然に箸が進み、繊細な味の料理をいそいそと口に運ぶ。誰もが満足顔で、『美味しかった。』と思わず声に出したのは、到着が遅くなって空腹だったせいだけではないようだ。

食事処「萩王」3




食事処「萩王」4




済ますものは済ませて、次の目的地である甘樫丘へ登る。小高い丘陵であるこの丘は、公園のように美しく整備されており、なだらかな散歩道を進むとやがて展望台に出る。ここからは大和三山(天香具山、耳成山、畝傍山)や二上山が美しい。

甘樫の丘から畝傍山を望む




甘樫の丘から耳成山(左)と天香具山(右)を望む




もと来た道を引き返し、豊浦にある向原寺(豊浦寺、推古天皇が即位した豊浦宮の置かれていた場所と考えられている。)に立ち寄る。推古天皇がこの豊浦宮で即位したのが593年。603年に小墾田宮に遷るまでの10年の間、この地に宮が置かれたとされている。小墾田に宮が移った後、この地は蘇我氏に与えられ、豊浦寺となったといわている。向原寺では「発掘調査された遺跡を公開しており、案内します。」と書かれているが、人の気配がなく、どこで誰に頼めばよいのか分からない。

ここからは徒歩で本日の終着点である近鉄橿原神宮駅へ向かう。途中明日香村から橿原市に入るが、途端に心なしか建物もありきたりの現代建築(いわゆるプレハブ住宅)が増えてくる。このように対比すると、明日香村は閣議決定による「明日香村にける歴史的風土の保全の及び生活環境の整備等に関する特別措置法」によりしっかり守られていることが実感できる。

今回は談山神社から石舞台古墳への下り道にてこずって、予想以上に時間が掛かってしまい、当初予定の西国三十三ヶ所の第7番目の札所「岡寺」と「飛鳥坐(います)神社」には立ち寄ることが出来なかったが、これでもう一度(3回目)明日香村に来るチャンスができたということにしたい。

ところで今回、川勝会長から『今後史跡“ハイキング”と“俳句ing”を掛けて、和歌や俳句をひねってみませんか。』との提案があり、以下の和歌・俳句の投稿を頂いたので報告する。これにより、わがMBI関西支部『史跡ハイキング同好会』は、今までにも増して文化の香り高いものとなることを祈念したい。



<俳句ing> 添削:林喬(MBI-9)先生

川勝:「飛ぶ鳥の 明日香を望む 山道で 一息つく先 白梅の花」

川勝:「多武峰(とうのみね) 下りて到る 明日香村 緑の棚田 紅梅の花」

川勝:「石舞台 周りを鎮めて 馬子謂う ここは我が「嶋」 馬酔木(あせび)が香る」

大倉:「談(かたら)いつ 登り来たりし 談山(たんざん)に いにしへ偲ぶ 白梅の花」

伴野:関東に旅立ちされる山崎さんを明日香村の鳥に例えて詠めり,

   原作「発つ鳥の 門出に咲くか 山桜」 → 「発つ鳥の 門出に咲くや 初桜」



ハイキング参加の皆さん、どしどし応募をお願いします。



報告者: 大倉
写真&HP編集: 伴野
参考資料:「談山神社公式サイト」http://www.tanzan.or.jp/



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