第2話 (8.23.2004)
「日本のバリアフリー」


車椅子に座り移動をすると、
目線の位置は健常者の目線よりも
座っているだけに物理的に低くなります。
低くなるとそれだけ地面との距離が近くなります。
いきおい、健常者の方よりも
道路の造りを細かく観察するようになります。
するといろいろなことが目につきます。

例えば、鉄道の駅へのアプローチは
健常者の時は気がつきませんでしたが、
わずかですが駅構内に向かって上り坂となっています。
手の力が残っている間は車椅子でも
この程度の坂は自力で上れますが、
手の力が萎えた時はこの程度の坂といえども上りきれません。

道路沿いにあるお店、例えばマクドナルド店は、
ほとんどのお店の出入り口が歩道よりも一段高くなっています。
3cm程度から15cm程度までその高さはまちまちですが、
この段差は車椅子にとって大敵です。

健常者にとってはこの程度の段差は全く気にもならないでしょう。
それにデパートや駅の大方のトイレの出入り口は
階段もしくは段差があります。

身障者用のトイレがある場所はまだまだ少ないのが現状です。
心が救われるのは、車椅子で坂や段差と悪戦苦闘していると、
どなたかが必ずといってよいほど、手助けをしてくれます。
弱者保護の精神が日本の人々には浸透してきているのだな
と感激しております。

しかし、一方で混雑した電車の中でシルバーシートに
平然と座っている健常者の方が見受けられるのも事実です。
足の悪い人はシルバーシートの傍まですら行き着けませんから、
誰かがそのシートまで導くことと、
シートに座っている人が気持ちよく席を譲る精神が必要でしょう。

車椅子で街中を動いていますと、
車椅子には乗らないまでも
意外と足の具合が悪い方が多いことに気がつきます。
私が健常者の時は全く気がつかなかったことです。
杖をついている人、買い物用の手押し車で足をかばっている人、
杖を持たないまでも
明らかにどちらかの足が不自由である歩き方をしている人、等等。

ごく最近、家族とともに東北へ温泉旅行に行きました。
40余年給与所得者として働いた慰労を兼ねてのものです。
西洋医学では治療方法がみつかっていないALS患者の私は
温泉療法でなにか治療のキッカケでもつかめないものかと
秘かに思ったものです。
花巻温泉・乳頭温泉・十和田温泉を巡りました。
私が泊まった宿は次に述べる2箇所を除きバリアフリーとなっていました。

バリアフリーとなっていない2箇所とは?
@温泉の脱衣所から洗い場への出入り口には扉がある。
その扉が前後に開閉する仕組み。
車椅子に乗っている人は引き戸でないと一人では開けることができません。
また、その出入り口には段差がある。
かつ、湯船への出入りに手すりがなく
単独では湯船への出入りは足に障害のある私にはできません。

A宿泊室内にあるトイレ。
トイレへの出入り口が前後への開閉式、引き戸ではない。
その上に床よりも10cmほど高い段差があるため、
単独ではトイレへ入ることが出来ません。

宿屋へ事前に電話でバリアフリーであるか否かを問い合わせた時は
宿屋の方はバリアフリーであるといっていましたが、
上述の箇所は以外と落とし穴的に見落としがちな場所なのでしょう。

私は温泉が大好きです。
家族の手を煩わせずに夜中といわず、
早朝といわず、温泉に入りたい時に入れる
完全バリアフリーの温泉宿をご存知の方はお知らせ下さい。

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