第7話 (9.13.2004)
「プロ野球球団合併問題に寄せて」


先日、東京Domeへ出かけ久しぶりに生のプロ野球(巨人対中日)
を見学しました。
試合開始前1時間半にもかかわらず、
多くのフアンがスタンドを埋めていました。
私も熱狂的とはいわないまでも、50年からの野球フアンです。

どなたかが、「野球は国民的暇つぶし」と言われました。
まさに日本国民の多くは余暇の時間を野球見物なり
野球中継放送に費やしています。
野球は今や、国民にとって不可欠な存在といえます。

その国民的スポーツを一握りの人達に
その将来を委ねて良いのでしょうか?

プロ野球界は近鉄・オリックスの合併問題に端を発し、
日本プロ野球界初の選手によるストライキにまで発展しようとしています。
しかしながら、球団側もさることながら選手側も、
ひいてはマスコミ・有識者も目先の問題のみを取り上げています。

すなわち、球団の数をどうする?
1リーグ制への移行か2リーグ制維持か?
巨人のパリーグ移籍か? 等々。

どれもこれも目先の対策に過ぎません。

何故、球団合併問題が起こったのか?
経営に行き詰まったからだ、
ということは皆さん100%承知しています。
球団といえども慈善団体ではありません。
営利団体です。
経営に行き詰まれば、当然のこととして対策を打たねばなりません。

何故真剣に対策論が議論されないのでしょう?
近鉄・オリックスが合併することが万全な対策ではないことを関係
者全員が承知しています。

仮に合併が中止になるか、
新たに球団が出来てパリーグが6球団制を維持出来たとしても
真の問題解決にはなっていません。
問題を先送りするだけです。

現に、パリーグの全オーナーが球団経営は赤字である、
とメデアに公言してはばからないのですから。
問題は、もはや一球団の経営問題ではないのです。
日本のプロ野球産業界全体の問題なのです。

プロ野球産業改革、すなわちRe-Structuring(再構築)を
関係者が真剣に検討せねばならない時期にきています。
遅すぎた感があるくらいでしょう。

Re-Structuringは日本では「リストラ」と省略され、
ややもすると人員解雇の代名詞となりがちです。
再構築と人員解雇は全く異なるものです。
再構築の要素の一つに
不要不急の人材の解雇が入っているに過ぎません。

人員解雇は、人件費削減によって当面の支出削減となり
収支の改善に寄与しますが、
2〜3年もすると、その削減だけでは追いつかなくなり、
更なる人員削減をせざるを得なくなります。

産業界を構成している企業の支出の部全体に占める人件費の割合は
メーカーで3割前後です。
大半を占める残りの部分は、
工場/事務所の維持費・研究/開発費・宣伝広告費・
什器備品費・設備投資費・償却費等々です。

この大半の部分に手をつけるためには
企業の仕組みを根本的に見直す必要があります。

その点、人員解雇は企業の仕組みを根本的に見直さなくても、
実行可能です。
ただし、企業の仕組みを見直さずに
人員削減のみを実行するわけですから仕事量は減っておらず、
人員のみが減るので、
残った人達に労働負荷が増えることに繋がります。

近鉄とオリックスが合併すれば、
2チームが1チームとなるので人員は半減します。

人件費という支出は半減です。
では収入はどうでしょうか?

近鉄とオリックスの両チームで得ていた合計収入を
合併チームが得られれば、収入(従来通り)マイナス支出(半減)
ですから収支が改善されることになります。
しかし、従来通りの収入というわけにはいかないでしょう。

また、球団全体の支出の中で人件費は
どのくらいの比率を占めているのでしょうか?
あるオーナーは
選手の年俸の高騰が経営を圧迫しているといっています。

確かに大リーグでも選手の年俸が経営を圧迫するとのことから
年俸を押さえにかかり歴史的ストライキ(後述)のきっかけとなりました。
しかし、大リーグの年俸は日本プロ野球の年俸とでは比較になりません。
桁が違うのです。
選手は球界維持発展のために不可欠な有能社員です。

信賞必罰を徹底し、有能な選手の年俸制限はすべきではありません。
選手生命は一般企業人と比較し、短く危険。
選手は国民に夢を与えるものです。

以上を踏まえて
プロ野球関係者は真剣に検討すべきではないかと思います。

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