第20話 (2.17.2005)
「ALS患者の家族」


先日読売新聞に以下の記事が掲載されておりました。

「ALSの患者(60歳男性)を母親(80歳)が殺してしまい
3年の懲役(執行猶予5年)の判決」

殺人の背景は以下です。

患者はALS発病後、
一年以内の短期間に人工呼吸器をつけざるを得ない
状態にまで症状が悪化しました。

患者は「人工呼吸器までつけて生きていたくない」
と母親に訴えましたが、
母親は患者を説得して人工呼吸器をつけました。

その後、患者の症状は口が訊けなくなるほど、
悪化の一途をたどりますが、
目で母親に「人工呼吸器を外して欲しい」
と訴え続けました。

母親は次第に症状が進み、
「死にたい」と目で訴え続ける息子を日々診ているうちに
息子への不憫さが募り
「自分が息子を生かし続けたい」と思うのは、
自分の我が儘なのではないか
と思い始めるようになりました。
患者は口も訊けないくらいですから、
人口呼吸器を自分で外すことは出来ません。

ある日、母親はそっと、
息子の口から人口呼吸器を外しました。
外したその後で、
母親は手首を剃刀で切り、自殺を図りました。
しかし、母親は結果としては死ねなかったのです。
裁判では「目で訴えた殺人依頼は無効」との判断です。

しかし、患者が「人口呼吸器までつけて生きていたくない」
との意思を持っていたことは、
医師・看護婦などが十分証明しました。
その結果、委嘱(?)殺人罪が適用され
刑量も軽くなり執行猶予がついたとのことでした。

この記事を読んで、
同じALS患者である私は
なんともやり切れない気持ちになりました。

2002年5月に右足をひきずる感覚から始まった
私の病気は歩行が全く不可能の状態にまで進行し、
移動は車椅子を使っています。
腕にも症状が進行しつつあり、
つかまり立ちするのも億劫になってきております。

家の中にはそこかしこに手すりを着けております。
就寝時は尿瓶を枕元においております。
いろいろな面で家内の世話にならざるを得ません。
今後も症状は確実に進行を続けます。

その内に両腕の筋肉が萎えて
両足と同じ状態がくることは
時期はともかくとして確実にやってきます。

この「車椅子の目線」も続けることは出来なくなるでしょう。

そして、読売新聞の記事に出ていた患者さんと同じく、
人工呼吸器を取り付けざるをえない状態となるでしょう。

その時、私はどのような決断をするか??

恐らく、記事の患者さんと同じ決断をすると思います。

でも、自分ではどうすることも出来ない
状態下で決断をしても
家族に、家内に
迷惑が及ぶと思うと・・・・・・・・。

それとも、少しでも体の動く内に
自分自身の行動をもって死を選択すべきなのか?

英会話教室を自宅で開講し、
少しでも自分の今後の生き様の糧としようと考え、
実行に移した矢先の記事であっただけに、
今少し気持ちが落ち込んでいます。

尊厳死につき
日本国政府は難病に苦しむ患者の実態を実地検分を含めて
一層真剣に考えていただきたいと思います。

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