第33話 (9.12.2005)
「衆議院総選挙をかえりみて」


9月11日の衆議院総選挙は
自民党の歴史的大勝で終わりました。

議員総数(480議席)の61%、
296議席という
中曽根元首相時の300議席に次ぐ大勝。

一方、政権交代を旗印に掲げた民主党は
議席数を大幅に減らし、惨敗。
岡田さんは責任を取って代表辞任を発表。
何故こうまで自民党と民主党の差がついてしまったのか?
私の感想を以下に述べます。

その一。
小泉さんのメッセージ(下記)が極めてシンプルで
国民に何を投げかけているのかが非常に分かりやすかった。

<<小泉さんのメッセージ>>
【郵政民営化】が賛成ですか?反対ですか?
日本は国家公務員が多すぎる。
郵便局員の全国総数は27万人で公務員母体としては最大の人数。
警察官が25万人。自衛隊が24万人。
民営化して公務員の人数を減らす。
(小泉さんは郵政民営化法案の中味には触れなかった。)

一方、岡田さんのメッセージはポイントがわかりずらかった。

<<岡田さんのメッセージ>>
政権を交代しないと日本はダメになる。
(国民は日本がダメになるとはどういう意味なのか?
何故ダメになるのか?
更に政権が交代すれば民主党は何をしてくれるのか?
メッセージが抽象的で複雑過ぎました。)

その二。
本来、公務員というものは政府の役人ですから
公務員削減案は時の政権が提案するものではなく、
野党が提案するべき内容に属すもの。
それを政権内部の反対を押し切って
小泉さんが提案したことに、
公務員よりも絶対人数が圧倒的に多い
一般人の大喝采を浴びた。

その三。
この理由が議席を大幅に伸ばした最大の理由。
自民党と民主党の議席数と得票数は以下の通り。

小選挙区
    議席数 自・主比  得票数  得票数/議席
自民党 219 100  32,518 148
民主党  52  24  24,805 477

比例区
    議席数 自・主比  得票数  得票数/議席
自民党  77 100  25,888 336
民主党  61  79  21,036 345

上の表でおわかりのように
自民党議員一人当たりの得票数は
小選挙区が14万8千票に対して、
民主党議員の得票数は47万7千票。
実に自民党議員の3.2倍の得票をして
一人の議員が当選している。

この効率の悪さが自民・民主の得票比が
100:76(民主は自民の3/4得票)に対して、
議員比が100:24(民主は自民議員の1/4)
という形で表れている。

超10万票を得ても落選、
3万票でも当選する一票の重みに格差があることを
自民党は上手く利用したといえます。
票の重みに小選挙区ほど差がでない比例区では
得票数/議席差がほぼ拮抗していることからも検証できます。

得票率を見てみると:
小選挙区 今回得票率 自・主比 前回得票率
自民党  47.8% 100  43.8%
民主党  36.4%  76  36.7%

比例区  今回得票率 自・主比 前回得票率
自民党  38。2% 100  43.8%
民主党  36.4%  95  36.7%

小選挙区では自民100に対して民主は76。
比例にいたっては、自民とほぼ同率。
従い、得票の切り口では議席数ほどの大差は全くない。

TVも新聞もこの選挙の盲点を
国民にわかるように示していません。
唯一示したのは、
【超10万票でも落選、3万表で当選】の
票の重みの違いでした。

小選挙区 今回得票率  前回得票率
自民党  47.8%  43.8%
民主党  36.4%  36.7%

政党政治を日本が標榜するのであれば、
政党政治の根幹である【政党の政策論争】
で選挙を戦うべきであり、
国民は政策の中味を吟味し、
どの政党を支持するかを決めるべきだと思います。

すなわち、身近な例を挙げれば
現在の比例区を全面的に採用する方向が
政党政治の根幹ではないでしょうか?
ただし、日本の比例区は
党派別当選順位をあらかじめ党執行部が作成しているのが問題。
この方法はややもすれば、
党執行部の独断と偏見で【誰を当選させるべきか】を
決定してしまう恐れが残ります。

従い、党派別当選順位の決定は
比例ブロック単位で選出された一定人数の党員によって
なされるようにしたらどうかと思いますが?
(米国大統領選と似ている)。
小選挙区というものは、
ややもすれば、地域密着型になりすぎる傾向となる。

私は小泉さんの
【軸がぶれない】強い意志
(石原慎太郎氏曰く:Strong will)に共感していますが、
また郵政民営化には
公務員を減らすとの観点で賛成ですが、
自民党が一党独裁となる傾向には賛成できません。
ナチスや旧日本陸軍が戦争に走った轍を
繰り返してはいけません。

民主党の岡田さんの代表会見を聞きましたが、
民主党再建の具体策は出ませんでした。
何故、選挙制度の見直しを提案しないのか?
今の状況が続くと、
民主党の得票数も目減りしかねません。
党を支持する得票が目減りしてからではtoo lateです。

幸いにして、時の首相の小泉さんが選挙活動で、
【国政は国民の総意に基づき行うもの、
決して一部の国民の利益のためになすものではない】
と言っています。

国の政治を司る
【国会議員はいかなる方法で選ばれるべきか】を
【いかにしたら民意の総意を汲み上げることが出来るか】
との視点から建設的に議論されることを切望します。

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