第44話 (8.28.2006)
「熱闘甲子園を振り返って」


久しく車椅子の目線から遠ざかっておりました。

題材が思いつかなかったこともありますが、
症状が両腕に進行し腕が思うように動かなくなりました。
その結果、
パソコンを叩くのも億劫になっているのが現状です。

特に肘がいうことを利かないので腕が伸ばせず、
function keyに指が届かないのです。
また、腕全体の筋力が弱ってしまったために、
腕を上げることが出来ませんので、
指が届かない部分はどちらかの腕で
もう一方の腕を支えるようにして
腕を前後・左右にkeyboard上を動かします。

従い、一行の文章を叩くのに
かなりの時間が費やされます。
そのような訳でしばらくお休みをしておりました。

そんなおり、
静岡県の主婦の方よりMAILをいただきました。
車椅子の目線が6月以降発行されていないので
心配しているとのことでした。
見ず知らずの方にご心配いただく身に余る光栄に、
指が少しでも動く限りは
書き続けようとの思いにいたりました。

本題に入ります。

4000校を超える高等学校の頂点を決める
甲子園での野球が先週幕を閉じました。
新聞各紙に述べられているように、
今年の甲子園は
例年よりも熱戦が多かったように思います。

とりわけ、早稲田実業と駒大苫小牧高校の決勝戦は
筆舌に尽くせぬ感動を私に与えてくれました。
延長15回戦を戦い抜き、
1対1の引き分け再試合となった瞬間、
えも知れぬ感情が私の体内を駆け巡り、
不覚にも涙がこぼれました。

斎藤投手、田中投手を中心とした両チームの選手、
そして、彼らを今日あらしめた監督・コーチ・ご両親・
そして彼らを支えてきた多くの関係者の方々に
テレビの前から不自由な手で拍手を送りました。
私は東京都民ですので早稲田実業フアンですが、
熱戦を観ているうちに
どちらにも勝たせてあげたい気持ちになりました。

再試合がこれまた素晴らしい試合でした。
ハンカチ王子の異名をマスコミからもらった
斎藤投手の影響から
ハンカチの売り上げが増大した
という経済効果は予想外であったと思いますが、
16歳〜18歳の少年達がどれほど多くの
人々に感動を与えてくれたことか。

準優勝をした駒大苫小牧高校の練習風景が
TVで紹介されました。
残雪の上でシートノック練習をしているのです。
雪の上でのボールの弾み方は
土の上とは異なるはずですが、
彼らは雪が解けるのを待っていられないのです。
史上初の三連覇という偉業達成を目指して。

人間だれでも目標を持ち、
その達成に向けて努力する姿は輝いており
そして気高さを感じます。

全国の高校球児が
甲子園出場という目的を掲げて努力し、
また甲子園での優勝を目指して切磋琢磨した夏が終わり、
高校球児の次の目標が気になるところです。
目標が無くなった時の人間の思考力・行動力は
目標を持っていた時とは雲泥の差があります。

私自身を振り返り、
4年前に医師に筋萎縮性即作硬化症を告げられ
その病気の内容を知らされた時は
「生きる」という目標を失いました。
約三ヶ月の間、
これまでの人生とこれからの人生の
大きな乖離の狭間で悩み続けたものでした。

高校球児達は私と異なり、
死に直面するわけではありませんので
新たな目標を掲げ、
その目標に向かって立派な社会人として
成長されることを念じて止みません。

全国の多くの人々に感動を与えてくれた
多くの球児達に
「ありがとう、そして辛かった思い出、
悲しかった思い出を
今後の人生の糧にして欲しい」
と伝えたい気持ちで一杯です。


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